読書レビュー【心理学編】
母という病
今日は、
精神科医でもあり、小説家でもある
岡田尊司さんの
母という病
についてレビューします!
私自身、親との関係には長いこと苦しい思いをしてきました。
二十歳そこそこで実家を出たにも関わらず、その後就職した後なかなか
社会に馴染めずその多くを人間関係に悩む時間過ごしてきました。
問題は明らかにあったものの、
親の方はそれを認めようとしなかったため、
家族の中で唯一私が、家族の歪みに向き合おうとして
まず自分をどうにかしようとしていたのですが、
骨の折れる作業でもあり、多くの時間とエネルギーを費やしてきました。
このような親は、多くは自分自身も満たされなかった子供時代を生き、
自分の人生を見失ってきた人が多いということかと。
この本には、親、それも母親にスポットを当てて
様々な有識者の親との関係を挙げながらわかりやすく説明してくれています。
親とのしっかりした愛着が育まれなかった子供は、
成長してからも安定した関係を持ちにくく、自分や周りとの信頼関係を
築くのが難しい、としながら、
例えば文豪である夏目漱石をあげて、育った家庭でどのような傷を受けて、
それがどのように影響してきたのか、またそれを克服して名作を生み出す
著名作家にまでなっていくまでが丁寧に描かれています。
中でも愛という名のコントロールという、
子供を自分の人形のように扱うエピソード。
このような不安定な愛着を持つ人に必要とされているのは、
安全基地=安全で自分をさらけ出せる、守られた場所や人間関係、
何があっても戻ってこられる場所、とされています。
この安全基地が、現代社会でとても減っていること、
家族が安全基地でない場合、行く場所が地域にもなかなかないため、
安心して自分をさらけ出せる関係性が育まれにくい世間であること、など
安全基地の重要性を問うています。
人との関係性だけではなくて、自分の拠り所になれる趣味趣向、
そういったものも安全基地を作っているようです。
暖かい人間関係、家族を超えて熱くなれる仲間ってなんだろう。
じぶんにとっての安心できる安全基地とは?
あの文豪やあのアーティストも、と、心に元気をもらいながら、
母親の影響度、女性、母親(全ての)へのレスペクト(尊敬)が
湧いてくる一冊です。
母との関係に悩む人も悩まずとも、
母親がいるすべての人に読んでほしい一冊です。